先の見えないEU離脱
著:大澤史來
London Phone Booth Photo by burst.shopify.com
イギリスのもっぱらの話題と言えばブリグジット。全く政治、経済ジャーナリストでさえ、結果が予測できない状況に追い込まれた欧州離脱問題。2016年の国民投票で離脱に決まったものの、ロンドン市民や議員たちは全くそんな予測をしていなかったから、さぁ大変!メイ首相も反離脱派なため、できる限りの手を尽くし、経済的にも大きい影響の出ないソフトブリグジットを目指すも、自国の決議で否決を何度も受け、もう今月にはハードブリグジットしか選択は本当にないのであろうか?
そんな中、日産は新モデルの生産をサンダーランド工場から日本国内へ切り替え、ホンダもスウィンドン工場からの撤退、そして今週はドイツ高級車BMW社がMINIの英国内での生産をドイツに移すと発表。ただでさえ、英国社ダイソンを始め、ロイド銀行、ゴールドマンサックス、ソニー、無印、多くの企業が本社をイギリス国内から欧州または、アジアに移している。
昨日は、ホンダ社社員によるデモがビッグ・ベンの前で行われたが、スウィンドンなど地方都市の人々は、ブレグジットをそれでもまだ望んでいるのであろうか?
BBCのニュースでは日産の製造撤退について地元の人がインタビューに応じていたが、工場に実際に勤める社員とその家族、そして全く工場とは無関係の人たちではかなりの温度差があることが分かる。しかしいくら直接工場に関係がないといっても、数千人単位の人が町の活性化に貢献してきているわけであり、その影響が経済的に出ないとは考えにくい。
それと同時に欧州連合からファンドで建設されたイギリス国内でのラグビーやサッカー場も国民にはほとんど知られていない。スタジアムができたことにより多くの人が訪れ、町は潤ってきた。しかし離脱により、そのスタジアムの維持費さえも危うくなるであろう。
もちろん、経済的にも大きな打撃は予想され、失業者を生み出し、しかし酪農、農業は人出不足に悩まされるであろう。それはイギリス人には不人気の職業でそのため多くの欧州からの労働者を雇っていたからである。
また、離脱を前に、スーパーに売られている商品も値段は同じでも、若干中身の数量が減っていることに気づき、また、住民税もすでに上がると発表もされた。
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