欧州選手権でイングランド決勝へ

著者:大澤史來

準決勝でデンマークを破ったイングランドは、決勝戦でイタリアと戦った。未だにコロナ感染が心配される中、ウェンブリーアリーナは、前回にも増して熱狂的なファンが押し寄せた。ウェンブリー以外にも英国国内のいたるところでは、大型スクリーンを野外に設置したり、スポーツバブなどで中継をし、英国中がサッカームード一色となった。

開始直後、イングランドが先手を取り、1−0となる。イングランドファンは意表をつかれながらも喜びの歓声が沸き起こる。後半、イタリアに1点を取られ1−1で、延長ののち、PK。

張り詰める緊張感の中、滑り出しは順調に思えたが、後半、点を入れることができず、イタリアに惜しくも敗れた。イタリアは53年ぶり、2度目の優勝となった。


試合の負の産物

チケットを持たない人が無断で入場

ウェンブリーは最大9万人の観客を主要できる大スタジアムであるが、コロナ規制によって、入場数や入場時の規制が厳しくなっている。それを完全に無視し、多くの熱狂なファンがセキュリティや警察官を押し除け、ゲートを乗り越え、スタジアムに無断で侵入し、サッカーを観戦。高額なチケット代を払った人たちはそれらの人々を憤る思いで見ていた。中には大勢の人が自分の前に立っていたため直接試合を見ることができず、ずっとスタジアムの大型スクリーンでしか観戦できなかったという人もいた。80名が逮捕される。

なにより、正規でチケットを購入した人はあらかじめ、コロナ検査の陰性を報告し、ワクチン接種が終わっているかどうかを報告して入場するのだが、無断入場した人たちがもちろんそれを無視。もし保菌者であれば、多くの人に感染することは否定できない。

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https://www.dailymail.co.uk/news/article-9781677/At-heart-carnage-Wembley-Sundays-final-like-scene-prison-writes-MIKE-KEEGAN.html?fbclid=IwAR1pv54ZUWhqo5pLjc9UbflM17Uq_DYrCm6sXOixy4GayWHdYoR9WxcnIaQ


試合後の大量のゴミ

ウェンブリースタジアムの周辺やロンドン中心部ではイングランドファンが散らかした大量のゴミが路上に放置されていた。多くは残飯や割れた瓶の破片、ビールの缶、紙くず、プラスチックカップなど。翌日行政職員が朝3時から清掃を始め、通勤時間には普通通りのロンドンの街に戻った。 

試合後の乱闘

デンマークの試合の時も問題となったが、今回もイングランドファンによるイタリアのファンへの暴行が明るみになった。これもソーシャルメディアで幾度となく流されているが、一人のイタリア人を無数のイギリス人によって暴行されている。*過激な動画のため年齢制限あり

人種差別にも発展

試合は最終的にPKに持ち込まれ、チームの中で黒人3人、マーカス·ラッシュフォード(23)、ジェイドン・サンチョ(21)、ブカヨ・サカ(19)がたゴールを決められなかった。それに対し、差別的な心ない中傷コメントがソーシャルメデイア等で拡散され、英国中がそれを問題視し、ボリス・ジョンソン首相もが国会でそのことに触れるまでに至った。

昨年白人警察官に殺害された黒人のジョージ·フロイドの事件はまだ記憶に新しい。人種差別をなくす運動が世界中で行われているにも関わらず、今回のような結果を招いてしまっている。

イングランドが奇跡的に決勝に残った今回の欧州選手権であったが、なんとも後味の悪い結果となってしまったと言わざる得ない。

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