紛争地帯を取材するジャーナリスト

著者:大澤史來

写真:IFUサイトより


3月11日、国際ジャーナリスト連盟は30周年記念レポートを発表した。その中には2020年の1年間に65人のジャーナリストやメディア関係者が16カ国の紛争地帯で、爆破による攻撃、狙い撃ちによる攻撃などにより殺害されたと報告。

1990年から現在まで合計2,680人のジャーナリスト、メディア関係者が取材で命を落としている。ジャーナリストは取材調査の内容が深刻であればあるほど、組織的犯罪集団、過激派、宗派間暴力グループに脅かされ続ける可能性がある上、世界各地で独自の取材を行った結果、ジャーナリストが犠牲になるとみられる。

先月もミャンマーの抗議デモを取材中の日本人ジャーナリストが一時的に治安当局に拘束され、過去にも紛争地帯に取材に行き、拘束、また殺害された日本人ジャーナリストは一人や二人ではない。

命を冒してまでも紛争地帯で取材をすべきかという問いについては、真実を追求するジャーナリストとしてはリスクがあっても取材をすべきであると考えるが、もちろんリスクを軽減するための下準備として現地の情報や言語、可能な救助、サポートチームの存在は不可欠である。

現在では女性ジャーナリストとして英雄となった米国人で、黒の眼帯がトレードマークのマリー・コルビン氏は、男性でも行きたがらないようなさまざまな紛争地帯の取材に成功し、多くの賞を授与されてきた。2012年もシリア内戦をレポートするためにシリアのホムスに潜入、現地の女性や子供たち、一般市民を治療する医師をインタビューし、内戦の悲惨な状況を世界中に配信。しかしシリア政府の爆弾が彼女が滞在する建物を攻撃し、彼女は帰らぬ人となった。

他にも調査専門女性ジャーナリストがパナマ文書関連でマルタ政府の汚職問題調査中、自家用車に爆弾を仕掛けられ殺害されたケースなどある。

最近では世界中、市民によるメディア不信が続いているが、このように自らの命も顧みず真実を追求するジャーナリストも世界中に存在する事を忘れてはいけない。

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