英国再び事実上のロックダウン

著者

著:大澤史來

夏以降、急激にコロナウイルスの感染者数と死亡者数が増加し、英政府は11月5日から12月2日まで感染者の多いとされるロンドン市内といくつかの地方都市に対し、第二回目のロックダウンを行った。しかし、第一回目のロックダウンよりもかなり緩い規制であったためか、その後も感染は広がり続け、ロックダウンという言葉ではないものの、ティア4という言い方で16日(水)から厳しい措置に踏み切った。その突然の発表に市民からは感嘆と怒りの声が上がっている。現在はレストラン、パブ、劇場、店舗などスーパーなどを除く全ての店が再び閉鎖されている。

乗客が少ないロンドン市内の地下鉄内@J News International



23日、昨日のデータによると39,237人が新たに感染、 744人が死亡していることから、厳しい規制をしない限りこの状況を乗り切ることはできないのではないか。しかし市民からは英国政府の曖昧な対応に不信感と憤りを感じている人も少なくない。

欧米人にとってクリスマスは大事な年間行事の1つであり、それを大勢で祝えないことは非常に切ない気持ちになる。まして突然の措置で、クリスマスショッピングをし損ねた家族は、今年はクリスマス・ツリーの下にプレゼントを置くこともできないのだ。

このパンデミックを止めることができるとされているファイザーワクチンは各NHSのワクチン接種センターで接種が行われ、今年、第一回目は無事終了した。50万以上の最優先者がワクチンを接種し、第二回目接種は2021年1月から行われる。

それに加え、英国内ではコロナウイルスの変異が確認され、欧州諸国をはじめ40カ国以上の国が国境閉鎖を今週の水曜または木曜より実施し、英国からの入国を禁止している。これにより海外でホリデーを過ごす英国人や英国に在住する外国人が急いで自国に帰国するために空港やユーロスター発着駅に殺到し、ソーシャルディスタンスを守ることもできないくらい混雑していた。

また、英国とフランスを結ぶ海峡も封鎖されたため、ドーバー港では足止めを食らった輸送トラックや観光客で大混乱になっている。港でのしっかりとした対応や説明がないままトラック内で数日を過ごすことになった運転手はその怒りを地元警察にぶつけ、小競り合いにも発展した。トラック運転手の多くが東欧出身者であり、クリスマスに間に合うように英国での仕事を終え、家族で一緒に休暇を過ごす予定であった。

欧州からの輸送トラックが英国側にも来られないというニュースが流れると一部のスーパーでは客がクリスマス用の食料を求め、棚が空っぽになる場面もみられた。しかし、フランス側との交渉の末、ドーバー港は再開し、現在は人も物も行き交うことができるようになっているが、トラック運転手のコロナ検査が義務づけになったため、渋滞は続いている。

棚が一時的に空になったロンドン市内のスーパー@J News International

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